また、お母さんを名前で呼んだ。

同じ高校の先輩、後輩だと言っていたけど
仲良かったのかしら?

「あの……昔って一体?
私……記憶を無くしていまして」

封印で記憶を無くしているため思い出せない。

「あぁ、その記憶を無くすのも
響子ちゃんは、君を守りたかったための
手段だったからね。君は、昔
別の妖怪に襲われそうになったことがあるんだ」

えっ?妖怪に!?

「どういうことだよ!?親父」

社長も知らなかったようだった。
すると会長が静かに語り始めた。

私は、月ノ宮神社のすぐ近くにある裏山に
よく出入りしていた。あそこは、
ほとんど人が出入りしないから妖怪の絶好の
憩いの場になっていたからね。

響子ちゃん……君のお母さんとは、
何かと縁のある人で、たまに会っていた。

まぁ、私が響子ちゃんの周りを
チョロチョロしているせいってのもあるけど……。

そこで初めて君に出会った。