「返すよ……お茶を飲んだらね。
さぁ座りなさい。蓮」
スッと笑顔を止めると社長は、
ぐっと歯を食いしばる。
そしてムスッとした表情で私の隣に座った。
座るんだ……?
社長を大人しくさせるなんて
この人の実力は計り知れない。
「さて、本題に入ろうかな。
私の正体だが……今、分かったように
この子の父親だ。
そして九門寺カンパニーの会長でもある。
まぁ、今は……亡くなったことにして新しい
人生を歩んでいるが」
あ、そうだ。
「あ、あの……私が九門寺カンパニーに
就職が出来たのは、会長のお陰だと母から聞きました。
あの、お礼を遅れて申し訳ありませんでした。
改めてありがとうございました」
私は、立ち上がり頭を下げてお礼を言った。
すると会長は、ニコッと笑う。
「あぁ、いいよ。響子ちゃんに君の話を聞いて
力になれたらと思ってね。
響ちゃんのことも子供の頃から知っていて
気になっていたし」



