私は、どうするか戸惑ったが
ドアを開かない以上……逃げる場所がない。
それに知られたからには、逆らわない方が
身のためだと思った。
恐る恐るその男性が入って行った部屋に
行くと広くて素敵なリビングだった。
「こっち、こっち」
男性は、ニコニコしながら
ダイニングテーブルの方で私を呼んだ。
そちらに行くと椅子に座らしてくれた。
そして温かいコーヒーと
チーズケーキを用意してくれた。
「ありがとう……ございます」
「どういたしまして」
クスッと笑うとその男性は、優雅に
自分の淹れたコーヒーに口をつける。
この人の行動がよく分からない。
物腰は、柔らかそうだが……何を考えているのか
分からないところがある。



