エレベーターが到着すると私は、
司の腕を強引に引き剥がした。
「あ、おい。響!?」
私は、泣きながら会社から飛び出して行った。
必死に走り続ける。
行き先なんて考えていない。
ただ真実から逃げ出したかった。
気づいたら公園まで来てしまっていた。
私は、涙を拭いながら
近くにあったベンチに座った。
外は、夕焼けになっていた。
息を整えるが……涙は、なかなか止まらない。
苦しい……息もだが、特に心が。
もし司の言っていたことが本当なら
社長の本心が分からない。
私も憎んでいるの?あの優しさも
フッと見せてくれる笑顔は、嘘なの……?
私を騙すための……。



