しかし、逃げる直前に
社長に腕を掴まれた。

「おい、待て。社長相手に
挨拶だけして逃げようとする奴があるか!?」

「いや……あの……すみません。
でも仕事がありますし」

「ほぅ……俺より仕事を優先するのか?」

えっ……いや。
そう言われましても……。

逃げ出せない雰囲気になってしまった。

私だって本当は、
逃げたしたい訳ではない。

でも母の意見も無視は出来ない……。
強制に帰らされたら困るし。

「ですが……」

「蓮様。社員なのですから仕事を優先するのは、
仕方がないかと……」

三津谷さんがフォローしてくれた。
だが社長は、それが気に食わないのか
ギロッと私を睨んできた。

「うるさい。俺は、俺を優先しない奴が気に入らん。
響……お前は、今日会社を休め。
そして今日1日俺のそばに居ろ!!」

とんでもない要求をしてきた。