私は、思わず逃げ出してしまった。

恥ずかしくて……。

廊下を息を切らしながら走っていると
曲がり角で誰かとぶつかってしまった。

「キャアッ!?」

「まったく。前を向いて歩け……響」

えっ……?

ぶつかった相手を見てみると社長だった。
後ろには、三津谷さんの姿も。

嘘っ……早速出会ってしまった。

「あ、おはよう……ございます」

どうしよう。

母から社長とは、関わるなと
言われたばかりなのに。

「あ、あの……失礼致します」

私は、慌てて頭を下げると逃げるように
後ろを向こうとした。