「そんなはずはありません。
人間の小娘相手に三つ目一族である
私の催眠が通じないなんて。
も、もう一度……」

納得がいかないのか三津谷さんは、
もう一度チャレンジしようとした。

しかし結果は同じ。

どうやら私には、催眠が
まったくかからない体質だったらしい。

えぇっ……!?

動揺する私に社長は、フッと笑った。

「驚いたな。俺も三つ目一族の催眠を
通じなかった人間を初めて見た。
面白い。お前……名前は?
俺の会社の社員だな?」

「えっ?え、営業課の宇佐美 響と言います」

私は、思わず自己紹介した。

あ、名前を言ったら余計に
私の立場が危なくなるじゃない!?
 
気づいた時は、すでに手遅れだった。