理恵が言うと、光男はまた舌打ちをした。


イラついているのか、さっきから足先がトントンと地面を蹴っている。


ここで答えなくても、回答は勝手に教えられる。


それがわかった上で、光男はどのような選択をするだろうか?


「本当なの光男?」


そう聞くと、光男はこちらへ視線を向けて「あぁ」と、返事をした。


「肩の故障っていうのは、嘘だったの?」


「いや、嘘じゃない。でも実際には……故障をさせられた」


光男の言葉にあたしは唖然として目を見開いた。


故障をさせられた?


誰かが故意に怪我をさせたということだろうか。


「誰がそんなことを……。お前のライバルか?」


幸平からの質問に、光男は左右に首を振った。


「いや、違う」


「じゃあ誰が……」


「……坂田春香」


え……?