しかし、理恵はなかなか立ち上がらない。


炎の中だから思うように動けないのかもしれない。


でも、このままだと焼け死んでしまう!!


自分の心臓が早鐘を打ち始め、炎の中の理恵が苦痛に顔を歪める。


早く!


早く立ち上がって理恵!


幸平と光男も懸命に理恵へ向けて声をかけている。


その声が届いたのか、ようやく理恵が立ち上がった。


髪の毛についた火を払って落とし、再び歩こうとしている。


けれど、どこか様子がおかしい。


さっきまで走っていたのに、先はもう見えているのに、理恵の動きが鈍いのだ。


一体どうしたんだろう……。