「信じてもらえなくてもいいです。あたしはもう帰ります」


そう言ったのは祐里だった。


祐里はさっきから小刻みに震えていて、真っ青だ。


「帰るって言っても、バスを呼ばないと帰れないだろ」


浅野先生は祐里をたしなめるようにそう言った。


「あたしの兄を呼びます」


あたしは咄嗟にそう言った。


あたしも祐里の意見に賛成だった。


あんな化け物が出る場所に長くとどまっていることはできない。


映画の撮影ができないのは残念だけれど、全く別の場所で新しい物を作成すればいい。


とにかく、今は死にたくなかった。