もう映画の撮影所ではなかった。


化け物は本当にいる。


自分たちを狙っている。


アレに捕まってしまえば、血を吸われて死ぬのだ。


合宿所へ戻ると、浅野先生が騒ぎを聞きつけて外へ出て来ようとしていたところだった。


「すごい声が聞こえたけど、お前らどうした!? ん? なんだそれは包丁か?」


浅野先生もパニックになって焦っているけれど、事情は飲み込めていない。


あたしたちは休憩室へと移動し、ついさっき起こった出来事を浅野先生に説明した。


「映画の化け物が出た……?」


すべて説明を終えた頃には、浅野先生は呆れ顔になっていた。


あたしたちの言った事が信じられないのだろう。


「本当のことなんです!」


実際に襲われかけた孝利が懸命に訴えかける。


しかし、浅野先生は渋い表情で黙り込んでしまった。