「二人とも!」


驚いて立ち止まると、亮輔と俊和の二人はあたしたちの後方にいる化け物へ向かって駆け出した。


祐里が悲鳴を上げる。


しかし、果敢に立ち向かった亮輔の持っていた包丁が、化け物に深々と突き刺さったのだ。


あたしたちはその場から動くことができなかった。


突き刺さった包丁を引き抜くと、そこから真っ黒な液体がトプッと溢れ出し、化け物は地面に膝をついた。


何度か野太い雄たけびを上げると、そのまま黒い煙となって消えて行ったのだった……。