それからあたしたちは美術室の掃除をし、窓をベニヤ板でふさぐ作業をした。


台本はあまり頭に入ってきていないけれど、そろそろ撮影を始めたい頃だ。


「明日から撮影に入る」


夕食時、食堂で浅野先生がそう言った。


ついに撮影開始だ。


そう思うと自分の中の血が湧きたつのを感じる。


ずっと映画に携わってみたいと思っていた。


それが明日実現するのだ。


自然と唾を飲み込んでゴクリと音が鳴る。


「今日はゆっくり休んで、明日は4時半起きだ」


準備なども考えると、そのくらい早起きしないととても間に合わないのだろう。


映画撮影のためなら、何時に起きたってかまわない。


浅野先生から明日の予定を聞いたあたしたちは、7時前に食堂を出てそれぞれの部屋へ戻ったのだった。