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三回建ての合宿所には使われていない部屋が多くあった。


その中でも木製の壁や床でできた美術室はとっておきの場所だった。


「ここいいね。大きな窓が写らないようにすれば山小屋っぽくならないかな?」


あたしはそう言って美術室の中を見回した。


木製のテーブルと椅子が後方に固めて置かれ、石膏像などが窓辺の棚に並べられている。


埃っぽいが、外の小屋よりも随分とマシだ。


「そうだな。窓はベニヤ板でも使って隠す事ができると思う」


孝利があたしの隣に立ってそう言った。


よかった。


これで撮影は続行されそうだ。


でも、問題は……あの化け物がなんなんか、ということだった。