☆☆☆

合宿4日目の朝も天気がよくて心地よかった。


けれど外へ出て深呼吸する気にはなれず、あたしはそのまま試写会室へとやってきていた。


部屋の中には孝利がいて、先輩の短編映画を鑑賞しているところだった。


1日目に見た《茜色の恋》だ。


あたしは部屋の後方に座り、画面を見つめる。


何度見てもすごい出来の映画だった。


これを高校生で作ったなんて思えない。


「すごいよな」



孝利が画面を見つめたままそう言った。


「そうだね」


あたしは素直に同意する。