ここは大人しくしたがって、無事に映画の撮影にうつったほうがよさそうだ。


そう思ってソファから立ち上がったとき、俊和が同時に立ち上がった。


「それなら俺は手伝う」


その言葉に一瞬にして女子2人が硬直するのがわかった。


「別にいいよ。インスタントものを温めて作るから簡単だし」


合宿所には生ものの食材もあるけれど、簡易的な食品も置いてある。


本当は生ものから扱わないといけないけれど、1人で作るのならインスタントでいいと考えていた。


「だけど、変だろこんなの」


俊和が祐里と麻由子へ向けてそう言った。


2人とも同時に視線を逸らせる。


「やめとけよ俊和」


そう言ったのは亮輔だった。


さっきから興味なさそうにテレビを見ていたけれど、今はこちらへ視線を向けている。