「あぁ。ここから一番近いのは、グラウンドの隅にある小屋」


「小屋? あぁ、あれだね」


後方の窓から外を確認すると、確かに木製の小屋が建っていた。


4畳半くらいの大きさだろうか。


あの中で撮影するとなると大変そうだ。


「あの小屋を、逃げて来た2人の隠れ家にする」


「中は確認した?」


「あぁ。ちょっと掃除すれば大丈夫そうだった」


孝利がそう言うなら安心だ。


「ちょっと恵里菜。話してないで晩ご飯の準備してよ」


祐里にそう言われてあたしは視線を移動させた。


相変わらず不機嫌そうな顔をしている優里がいる。


「そうだよ、1人だけ仕事してないんだからさ」


麻由子が祐里に便乗するようにそう言う。


2対1で反抗しても無駄な抵抗だろう。