あたしは、恋愛がしたくて映画部に入部したわけじゃない。


1人先に合宿所へと戻って来たあたしは、シャワーを浴びながらそう思った。


あたしは映画を作るために映画部へ入部したんだ。


だから、あんな風に妬まれたってどうってことはない。


強く目を閉じて、大きく深呼吸をする。


正直、これからの合宿生活は不安だった。


女子2人から嫌われてしまうなんて、幸先が悪すぎる。


とにかく映画作成に集中して、それでも無理そうなら部屋を別々にしてもらって……。


色々と考えている最中、外からガサガサという物音が聞こえてきてあたしは少しだけ窓を開けた。


浴室の向こうには森が広がっていて、動物などが出て来た様子はない。


そう言えば昨日トイレに行った時も物音が聞こえてきてたっけ。


「野ウサギなら可愛いけど」


あたしはそう呟き、窓を閉めたのだった。