祐里は相変わらずあたしを避けているけれど、森の中を歩くのは楽しかった。


普段踏みなれない腐葉土は柔らかく、木々の香りに安堵する。


「地図ではこの先だけど……」


浅野先生がそう言った時、森の木々がなくなり開けている場所へ出た。


「ここだ」


地図から視線を上げて孝利が言う。


そこには合宿所のグラウンド2つ分くらいの池があった。


「結構大きな池だな」


俊和があたしの隣に立ってそう言ったけれど、あたしは答えなかった。


ここで仲のよさそうな姿を見せることはできない。


余計な勘違いはされたくなかった。


「大きいけど、汚いね」


そう言ったのは祐里だった。


俊和を挟んで反対側に立っている。


あたしはそっとその場を離れたのだった。