「俺は恵里菜が相手でいいと思うけど」


更に俊和が畳みかける。


こうなるともう誰もあたしの意見なんて聞いてくれないだろう。


でも……祐里からの視線が痛いままだ。


「あ、あたしは裏方の仕事に憧れて映画部に入ったの」


「映画は裏方だけでできるものじゃない。全部の仕事をこなしてみないと、わからないことも沢山ある」


浅野先生がそう言った。


そんなことわかってるよ!


どうしてこの状況を誰も理解してくれないのだろう。


焦りから背中に汗が流れて行った。


「いいじゃん。やれば」


祐里のそんな冷たい声が聞こえて来たのだった。