この流れだとあたしがヒロイン役をやらされかねない。


「ヒロイン役恵里菜でいいと思う。無駄に化粧とかせず、素のままの美しさを出したいから」


孝利はそう言い、あたしを見た。


『無駄に化粧とかせず』


そのセリフで祐里の表情がひきつるのがわかった。


途端に呼吸が苦しくなり、祐里から突き刺さるような視線を感じた。


「で、でもさ。今は化粧してるけど、祐里だって素のままで綺麗だし」


そう言いながらも、喉が渇いていくのを感じた。


どうしよう、すごく嫌な空気を感じる。


「本当は嬉しいくせに」


小さな声でそう言ったのは麻由子だった。


ハッとして視線を向けると、逸らされてしまった。