「そうだったんだ!? 通りで距離感が近いと思ってた!」


麻由子の言葉にあたしは慌てて左右に首を振った。


「違うってば! あたしも孝利も映画が好きだから気が合うだけだよ!」


「そうだ。それに、男役は俊和がいいと思ってる」


孝利の言葉に、今まで笑顔だった祐里から表情が消えた。


あたしも同様だった。


唖然として孝利を見つめる。


「なにそれ。なんで俊和?」


祐里が詰め寄るように孝利へ聞く。


「画面が映えるからだよ」


孝利は当然のようにそう言った。


映像の場合は配役で作品の印象が大きく異なる。


だからだろう。


「それならヒロイン役は祐里がいいね。可愛いし」


あたしはすぐにそう言った。