「特別な学校って?」


後ろから城下麻由子(シロシタ マユコ)にそう声をかけられて、あたしは肩をすくめた。


バスを降りてここまで歩く間に学校名が書かれた看板があったのだけれど、みんなはそれに気が付いていないようだ。


木製の看板は半分が腐って落ち、マジックで書かれていた文字も霞んでほとんど見えなかった。


でも、あたしはその学校に聞き覚えがあった。


「感染病患者の子供たちがここに隔離されてたんだよ……」


あたしは誰にも聞こえないよう、そう呟いたのだった。