それから、浅野先生はあたしになにも聞いて来なかった。


小屋には鍵をかけずに出てきたけれど、孝利が出て来る様子もない。


もしかして、あの後すぐに死んでしまったのだろうか?


そう思うと体中が寒くなった。


あたしは人殺しになってしまったのかもしれない。


「大丈夫か?」


休憩室のソファの上で両足を抱えて座っていると、浅野先生がそう声をかけてきた。


「……大丈夫じゃないです」


カマが孝利の背中に突き刺さった感触を、今でもリアルに思い出す。


だからか、さっきから右手だけが小刻みに震えていた。