「先生……?」


「大丈夫だ。俺は何も見ていない」


浅野先生があたしから視線を逸らせてそう言った。


「え……?」


「行こう」


手当てをすれば孝利は助かるはずだ。


そう思うあたしの手を取り、先生は歩き出したのだった。