そんなのわかってる。


そう言いたいけれど、グッと言葉を押し込めた。


現実は作り物の世界とりも、もっとずっと残酷だということを認めることになってしまうから。


「もういい。お前はここにいちゃいけない人間だ」


浅野先生がそう言い、孝利の腕を引っ張って休憩室を出た。


あたしたちは慌ててその後を追いかける。


「先生、どうするんですか!?」


孝利を引きずるようにしてグラウンドへ出た先生に向けて、あたしは声をかけた。


こんな夜中に外に出るなんて、危険すぎる。


「小屋の中に入れておく」


浅野先生は短くそう返事をした。


小屋の中……。


「あそこから、ライトも武器もある。襲われたとしても対処できる」


「でも……」


1人の状態で本当にそんな事ができるだろうか?