「どうせ死ぬからって、なにをしてもいいわけじゃないじゃん!」


あたしは孝利へ向けてそう言った。


映画部の1年生の中でも、あたしと同じように映画が好きで、映画に熱意を持っている孝利。


それが、たった数日でここまで変わってしまうなんて、悲しかった。


孝利の作ったシナリオや台本は本当に素晴らしくて、将来も有望なはずなのに。


「ここから出た時に困るのは孝利だよ?」


あたしの言葉に、孝利は声を上げて笑い始めた。


その異様な笑い声にみんなが引いているのがわかった。


「ここから出る? 本当に出られると思ってるのか?」


「出られるに決まってんじゃん!」


化け物を倒してここから出る。


そう信じていないと、気が狂うのは当たり前だった。


「恵里菜……。これは現実だ。シナリオや台本、映画の中の世界じゃない」


孝利があたしに言い聞かせるようにそう言った。