化け物はしばらくその場で倒れていたが、数十秒後には黒い煙となって消えっていった。


助かった……。


ホッとすると同時に足の力が抜け、その場に座り込んでしまった。


「大丈夫か?」


俊和があたしの前にしゃがみ込み、そう聞いてくる。


「うん」


たったそれだけの返事だったのに、声が震えた。


今さらながら恐怖が全身に駆け巡り、強く身震いをする。


「早く合宿所の中に戻ろう」


「うん……でも、立ち上がれなくて」


すっかり腰が抜けてしまい、立ち上がる事もできなかった。


「それなら……」


俊和はそう言うと、あたしの体を抱えあげていた。


お姫様抱っこだ。