2人がここへ上がって来られたら、もう逃げ道はない。


麻由子が手を伸ばし、あたしの腕を痛いほどに掴んで来た。


「嫌!!」


そう言っても、麻由子は手の力を緩めなかった。


絶対に離すまいとしているのがわかる。


「早く!」


祐里の言葉に涙が滲んで来た。


こんなことで泣くなんて嫌だった。


悔しかった。


それなのに、涙はとめどなく溢れ出す。


痺れを切らしたのか、麻由子があたしの腕を強く引いた。


あたしはベッドの枠にもう片方の手をかけて必死に抵抗する。


しかし、引っ張られている方の腕を祐里が掴んだのだ。


2人で同時に腕を引っ張られ、ビリビリとしびれるような痛みが走る。


このまま抵抗を続けていたら、本気で腕が引きちぎられてしまうかもしれない。


「やめて!!」


あたしはそう叫び、自分から階段を下りていったのだった。