「一応、兄に映画のことをもう1度聞いておきたいんです」


合宿所へ来ることができなくても、電話は通じているのだ。


外部と連絡を取り合いながら、慎重に進めるべきだった。


「そうだね、その方がいいと思う」


あたしの意見に祐里が賛成してくれた。


さっそくスマホを取り出して、兄に電話をかけた。


数コール目ですぐに電話に出てくれた。


突然帰る事ができなくなったと伝えているから、なにかあったと心配してくれているのかもしれない。


『もしもし恵里菜か? 山の周りにパトカーが何台も来てたぞ、大丈夫なのか?』


電話に出た瞬間、そんな風に心配する声が聞こえて来た。


「うん。ごめんね心配かけて」


すべてを話すわけにはいかなくて、口ごもる。