合宿所に戻ってきても、会話はなかった。


自分たちの身に降りかかっている出来事を直視することができない。


「誰もここには来れないのかな……」


ソファに座っている祐里がそう呟いた。


「わからない」


俊和がそう返事をして、左右に首を振る。


「それより浅野先生は?」


俊和が、誰ともなくそう聞いた。


また、浅野先生の姿だけないようだ。


「亮輔の遺体を室内に運んでる。放置したら、野生動物に食べられるから」


孝利がそう答えた。


警察が来るまでは動かせないと思っていたが、その警察がここへたどり着く事ができないのだ。


遺体の処理は自分たちでするしかなかった。


「手伝わなくていいのかな……」


あたしはふとそう感じて、そのまま口に出していた。