さすがにおかしいと感じたのか浅野先生は眉間にシワを寄せた。


「ちょっと、こっちから電話をかけみてる」


そう言って警察へと連絡を入れた。


しかし結果は同じ。


警察からあたしたちの姿も、合宿所も見えていないようなのだ。


「それなら、車を置いて行ってください。私が運転して生徒を下山させます」


浅野先生が警察の人とそんな会話をしている。


「あたしたち、下りれるの?」


電話を終えた浅野先生に、あたしはそう聞いた。


「ひとまず下山だ。それから警察の人を一緒にもう1度合宿所へ向かう」


それはやむ終えない判断だったのだろう。


いつまで経ってもパトカーが到着しないのだから、仕方がなかった。