「だから化け物がいるって言ったじゃん!」


休憩室の中、祐里が叫んだ。


ソファの上に体育座りをして、ジッと身を縮こめている。


「わかってる。だけど先生には見えてないんだから、どうしようもないだろ」


俊和がイライラしたようにそう返事をした。


ついに死者が出てしまった。


もうすぐ帰れる。


そんなときに……!!


あたしは頭を抱えて大きく息を吐きだした。


兄が到着するまで、後1時間はかかるだろう。


到着したとしても、大きな車ではここまでの山道を進めないから、バスを降りた場所まで歩かなければいけない。


それまでこうして待っているなんて、気が狂いそうだった。