風呂掃除までする時間はなかった。


けれど、それを言えばまた罵倒されるのが目に見えているので、あたしはひたすら従順になるだけ。


洗い物を終えて風呂掃除をすると、ようやく少しだけ時間ができる。


その間があたしの休憩時間だった。


ちょっとだけテレビを見させてもらい、夏休み中にバイトをして購入したスマホをつつく。


1時間くらい自由な時間を過ごした後は、お風呂に入り、自室に閉じこもるだけ。


あたしの部屋は元々物置部屋として使われていたようで、窓が小さく埃っぽい。


ベッドを置くスペースなんてなくて、フローリングの上に直接マットを引いて寝ていた。


それでも、家のない子たちよりはマシだ。


毎日罵倒はされるけれど、暴力を振るわれているワケじゃない。


夏休みにはバイトをして好きなものを買う事もできる。


学校にだって通っているし、友達もいる。


そう思う事で、自分を納得させていた。