うわっ、広い。雪くんの家の車と違って席は二つしかないけど、その分足が伸ばせるし机まである。

座席はフカフカしてて座り心地いいし…。いいなぁ…こういう車にお母さんのせたいな…なんてこんな高級車買えるわけないんだけどね。

なんて思って車を堪能していたが、羚焚がいつまで経っても入ってこない


璃夢「?」


どうしたんだろうと思って羚焚を見てみると、反対車線の方を睨みつけていた。

誰かいるのかな?と思って私も見ようと思ったけど、窓が黒いからすごい近づいて見ないとほとんど見えない。

《スモークガラスというものだ》


羚焚「なにしてる」


頑張って外を見ようとしている間に車に乗り込んでいたらしい羚焚。

窓ガラスに顔をすごい近づけていた私は酷くおかしな人に見えただろう。

恥ずかしいな…。


璃夢「……れーたがアッチの方真剣に見てたから何かあるのかなって思って…」


羚焚「……お前が気にすることじゃない。少し見知った顔がいただけだ」


璃夢「そうなの?お話して来なくて良かったの?」


羚焚「あぁ。今度挨拶に行く予定だ」


そっか、ならいいんだけど…。私がいたせいで行けなかったなんて言われたらショックだったよ。


璃夢「あれ?そう言えば私、家の場所言ってないけど…」


既に車は発進している。だけど家の場所は言ってない。ならばこの車はどこに向かってるんだろう?