さっきの空気は何やったのか、
新藤さんの話はあれきりで、
彼女について知れることは何も無かった。


俺から話題に出すのもなんか違うと思ったから
あえて触れる事もなく
しばらく話していると







「そろそろ私失礼しようかな。」






22時半を過ぎるぐらいに
志乃ちゃんがそう言った。







「え、帰るん?早ない?」






そう聞く俺に対して
お金はええよ、送ってやれんでごめんな
と、謝る龍。







「斗くん、今日はありがとう。
またご飯行こうね。」





龍にまた連絡すると告げた後、
時計を気にしながら
いそいそと帰ってしまった。






「なんか用事でもあるんかな?」

「んーそうなんちゃう?
俺らもそろそろ帰ろか。」






さほど気にする様子もなくて
冷めたカップルやなーなんて思っていた。