「元気、ないね。どうしたの?」
拓人と並んで歩く中、ずっと考え事をしていたら、拓人に声をかけられた。
「えっ……本当?」
「暗い顔してる」
「そんなつもりはないけどなぁ」
ただ、考え込みすぎたのだ。
「嘘だね、美紅」
「え……」
「俺に隠し事、するの?」
「な、何言ってるの?」
「美紅がいつもと様子が変だなんて、そんなの見たらわかるよ」
さすがは専属執事なだけあって、私の些細な変化にすらも気づいたようで。
だけど今言うことではないような、そんな気がした。
「家、帰ってから……拓人に話があるの」
「その時に話してくれる?」
「うん、ちゃんと話すよ」
じゃないとスッキリしない。
「わかった。じゃあちゃんと全部、俺に言ってね」
「うん、全部話すね。心配してくれてありがとう」
少しの変化にも気づいてくれる拓人は、やっぱり頼りになる人。
それからふたり、学食でお昼を食べて過ごした。
拓人と過ごす時間は穏やかで、心が安らぐような、そんな気がした。



