お昼休み、由佳が姿を消した。


休み時間には、首輪をつけられて教室内を散歩させられた【犬】が、居なくなった。


「早く探して連れてきて!」


友美が喚(わめ)く。


いつの間にやら、いじめっ子を束ねるまでにのし上がった友美は、目を吊り上げて怒っている。


由佳はもう、我慢の限界だったのだろう。


私が由佳の立場でも、逃げ出すに違いない。


見つかったら大変だけれど__。


ちょうど人目を避けようと屋上に出ると、険しい顔をした友美とばったり鉢合わせてしまった。


「見つかったの⁉︎」と、私に詰め寄ってくる。


「知らないわよ」


「早く見つけなさいよ!じゃないと、光莉にこれ、つけてもらうから」


そう言って、首輪を突き出す。


今度は私に、犬になれと言うのか?


床に這いつくばって、ドックフードを食べろと?


「もう、やめたら?」


「はぁ?なに言ってんの?私に意見する気?」


あくまで強気な友美が、意地悪な笑みを浮かべる。


これから言うことが手に取るように分かった。


だから先に言ってやったんだ。


「あんたさ、本当に爆弾、使う気ある?」


「えっ__?」


「あんたにそんな根性、ないよね?」