第一章・偶然の出会い

キーンコーンカーンコーン♪コーンカーンキーンコーン♪
下校の鐘がなる。部活に入ってる人が一斉に教室から飛び出す。

「あれ?朝翔(あすか)今日部活は?」

「今日塾だから休むの」

「そっかー!頑張って!バイバーイ!!」

「じゃあねー」

私は2年1組から出て、同じ塾に通っている幼なじみのいる2年3組へ向かった。
クラス替えしてからまだ1週間ほどしか経っていないので少し緊張しながら教室を覗いた。

『全然いない…』

3組にいたのは幼なじみの夏々心(ななこ)と、ななこと席が近い5人。その中の2人とは友達だった。

「あっ!あすか!教室入ってきていいよー!」
さっきまでクラスメイトと話してたのにのによく気づいたな…
「…失礼します…」

「紹介するね!この人たちは全員うちと同じ班の人なんだけどこの人は高外咲心(たかぞとさきみ)!」

「さきみは小6の時同じだったし中一のときも同じだったからしってるよ!」

「あははっ!しってるー笑笑じゃあ2人目はこいつね。こいつも知ってるから省略。」
”こいつ”は加藤夏人(かとうなつひと)。小6のころに1回告られたことがあって地味に気まずい。…ちなみにフった。
「3人目は獅子戸莉子(ししどりこ)!」

「よろしくね!」
…この子は確かお姉ちゃんが可愛がっていた後輩だった気がする。
「4人目は大河敦斗(おおかわあつと)」

「…よろしくニコッ」
奥二重で茶髪でマスクをつけた、私より少し背の高い人はなぜか輝いて見えた。
「それからこの人が…」
最後の人の紹介なんてほぼ、というか全く聞こえてこなかった。私の頭で往復するのは大河くんの『よろしく』だけ。
「それじゃぁねーバイバイー!」

「バイバーい」

「…またねー!…」
気づいたらもう話しは終わってたみたいだ。
「ねぇななこ?」

「なに?」

「大河くんって…ふだんどんな感じ?」

「えーと…頭いいよー!」

「へー!!!凄いね!」
家に帰るまで大河くんの話しかしていなかった。
『もしかして…朝翔…大河のこと…?』

その日の夜私は気づいた…これは…『一目惚れ』…!!


第一章・[完]