「見つけたわ、種子島!」
明日香は目的のものを見つけ、文字通り飛びついた。ジェイルが訝し気に珍しい武器を見つめる。
種子島とはつまり、種子島に伝来した鉄砲の通称である。明日香はシステインの武器のほとんどが弓と剣であることを知り、鉄砲を導入できないかと思っていたのである。
外国人は丁寧にジェイルに鉄砲の使い方を教える。外国人が引き金を引くと、人がいない海の方に立てられた的に、見事に弾が当たった。
「なんだこれは!」
木の的が鉄の弾丸で吹き飛ぶのは当たり前。しかし初めて見るシステインの人々は粉々になった的に驚愕した。
「これ、今日は五丁ほど買っていきましょう」
「いや、五百はいるだろう」
ジェイルは鉄砲の破壊力に圧倒されたらしい。すっかり気に入り、買い占めるつもりでいる。
「陛下、騙されてはいけません。たしかに破壊力はすごいが、この大きな武器は長身の者にしか扱えないかと」
陰から見守っていたアーマンドが我慢しきれなくなったというように出てきた。
「そうそう。このままじゃ大きいよね。しかも重いの。だから何本か買っていって、改良するの。ぜーんぶバラしてね、軽量化するの」
「天才だな、アスカ」
ジェイルは明日香を抱き寄せる。なんのことはない。種子島の鉄砲も、こうして広まったのである。それを知っているだけだ。