僕は、兄さんの本意がわからないまま、楽しそうに話している姉さんとユウの会話の中に入った。

『愛美さん、これ見たら、ホテルが一部屋なんですけど、3人で同じ部屋で大丈夫ですか?』

『そうなの?私は大丈夫だけど…でも、2人は嫌よね。私がもう一部屋取るわね』

『いいですよ、俺らは。愛美さんがいいなら。な、凌馬』

『え?別に大丈夫だよ、姉さんがいいなら』

『ごめんね、おばさんが1人混じるけど、許してね』

姉さんが笑った。

『まさか、愛美さん、全然おばさんじゃないです、綺麗なお姉さんですよ』

『さすが、ハーフね、女性を喜ばせることも上手なのね。本当にありがとう、2人とも。一緒に付き合わせるのは申し訳ないけど、1人より3人の方が楽しそうだし、よろしくお願いします』

姉さんが、ユウと僕に頭を下げた。

ユウの優しい笑顔に、姉さんもどこか嬉しそうだった。

なんだか、少し苦しくなった。


一緒に出かけられるのに、何で?


あまり考えないようにしよう、ユウに悪気はないんだから。

姉さんのいい思い出になるように、僕が姉さんを楽しませてあげなきゃいけないんだから。