【バレンタイン&ホワイトデーSS】【番外編】最後の夜に「愛してる」を誓って

エレベータに乗り込み、操作パネルの前で自分の手をまじまじと眺めながら、つい数分前まで触れていた彼女の肩の温もりを思い出す。

細く、小さく、温かな彼女の体。頼りないあれをどうしてしまいたかったんだろう。

この手はなにを掴みたがっていた? 彼女の信頼? それとも、ワガママな愛着を満たしたかった? あるいは……。

再びエレベータの扉が開く頃には、そこそこ俺も平常心に戻っていて、ギッと奥歯をかみしめてやるせなさを飲み込むと、いつも通りの帰り道を歩き出した。