【バレンタイン&ホワイトデーSS】【番外編】最後の夜に「愛してる」を誓って

「……部屋まで送る」

「え……でも」

「ふらついてんぞ」

本当はそうでもなかったが、彼女について強引にタクシーを降りる。

「今日の神崎さんは、なんだか優しいですね」

「いつも優しくないみたいに言うなよ」

マンション前の階段を上りながら、おもむろに彼女の肩に手を回してみる。

彼女の瞳が大きく揺れて、俺の方を見上げたが、あえて気づかない振りをする。

部屋に辿り着き、玄関ドアの前で俺へ向き直った彼女は、なにかを言いたそうにおどおどと目線を漂わせた。

「あの……神崎さん……」

「なんだ」

「えっと……」

探り探り、といった感じで俺の表情を眺めている。