【バレンタイン&ホワイトデーSS】【番外編】最後の夜に「愛してる」を誓って

宣言通り、彼女が酔いつぶれることはなく、ほろ酔いといった感じでわずかにふわふわしている程度だった。足取りは割としっかりしている。

ふたりでタクシーに乗り込み、彼女のマンションへと向かう。

「わざわざ送っていただいて、ありがとうございます。今日はちゃんとひとりで歩けるのに……」

「歩けてると思っているのは、お前だけだ。今にも転びそうだぞ」

「そ、そうでしょうか……?」

タクシーの後部座席に並んで座りながら、俺はドアガラスに肘をつけて嘆息する。

どうしてこういう日に限って、彼女は酔っぱらってくれないのだろうか。

もし酔っぱらっていたら――俺はどうしていた……?

「送っていただいて、ありがとうございました」

気がつけば、もうマンションの前まで辿りついていて、彼女は俺へペコリと一礼した後、ひとりタクシーを降りようとする。