【バレンタイン&ホワイトデーSS】【番外編】最後の夜に「愛してる」を誓って

「今日は、酔わないように自制しようと思って」

酒に弱い彼女は、飲み会がある度に見事に酔いつぶれる。

そんな彼女を家まで送るのが俺の酔い覚ましのルーチンみたいなものだったんだが――。

「ほーう。じゃあ、今日は家までお見送りオプションは不要ってわけだな」

「えっ……いえ、そういうわけでは……でも、さすがに今日は記憶を飛ばしたくなくて……」

「むしろ、飛ばしてくれ。明日、なにも覚えてくれてなくていい」

「ええぇ……」

まいったような顔で眉尻を下げる彼女。

彼女を誘ったのは、ほんの気まぐれだ。

バレンタインのお返しをしてやるか――ふと、朝、ニュースで見たホワイトデー特集からそんなことを思いついて、軽い気持ちでレストランの予約を取った。

それから、日中、仕事の合間をぬって、オフィスの近くにあるデパートに足を運び、彼女への贈りものを買った。

……すべて、深い意味などない気まぐれだ。

だから、忘れてくれていいんだよ。