『帰るぞ』

ホームルームが終わるなり、健斗にそう言われた私は、無理だなんて言えるはずもなく。

だって仮にも恋人だ。
断るわけにはいかない。


誘い方も素っ気なかったから、多分無理して恋人のフリを演じているのだと思う。



靴を履き替えて外に出れば、健斗は自転車通学のため、先に門で待つように言われた。

少しして、健斗が自転車を押してやってきて。


「健斗、方向同じなの?」
「いや、駅とは逆」

「えっ、じゃあ意味ないんじゃ……」
「唯香も来るんだよ、俺の家に」

「……はい?」


やっぱり健斗は平然と言ってのけるから、理解に遅れてしまう私。