時間もあっという間に過ぎる。


けど、2人以外じゃ時間が鉛のようにずっしりと
俺の心に住み着いて離れない。


1分1分がまるで砂時計に落ちていく、1粒の砂のように
感じられる。


こんな風に誰かと一緒にいて、時間が経つのが
惜しいと思うようになるなんて、正直驚きだ。


俺はタオルで顔を拭いてから、戻った。


そして途端に気づく。


律佳の姿がないことに。



桜舞「律佳は?」


玲「あれ...?そういえば、どこに行ったんだろ」


徠「律佳ならさっき、自分のジュース買いに行くって
出かけたよ」


桜人「あいつの好きなもん、なかったっけ」


李「でも、大丈夫かな。律佳1人だよ」


桜舞「いーよ。俺が追いかける」


照「え、でも桜舞...」


桜舞「へーき。ちょっと買いたいものあるし」


徠「じゃあ、頼めるか?」


桜舞「おー」



俺は徠にそう返事をして、外へ出た。


正直なところ、女に出くわすのは怖いけど
律佳が1人で出るってことは何かしらあったんだろうし。


ちょっと気がかりだしな。


えっと...コンビニって確かこっちだっけ。


しどろもどろに歩きながら、律佳が向かったであろう
コンビニへと足を運ぶ。


途中でいくつかの女が通り過ぎたけど、
マスクを鼻の上まで上げてなるべくうつむいて歩くように
していたからか、あまり気にしなくなった。


克服する道、少しは見つけられた...っぽい?


我ながら苦笑する。



「てめぇ、なんか話せよ、なぁ」


「黙ったまんまかよ、つまんねぇ」



コンビニに着いた途端、不意に耳を刺す、
男の声が聞こえた。


どうやらコンビニの裏路地でたむろっているようで
白いタバコの煙が辺りにたちこめている。