いつものフード制服じゃなく、カジュアルなカーデガンを
羽織って、ダメージジーンズを着こなしている。


長身だから、物凄く似合ってんだよなぁ。



徠「重かっただろ、悪ぃな」


桜舞「別に?俺らが持参するって決めたんだし」


律「冷蔵庫でいい?」


徠「あぁ」


玲「そういえば、李利たちはまだみたいだね?」


徠「さっき連絡あって、ちょっと遅れるって」


玲「そっか!」


?「いらっしゃい」



綺麗な声色で、誰かがそう言うのが聞こえた。


思わずビクッと震え、声の主からなるべく遠ざかる。


おそらく、声の主は...女だから。



玲「あ!お邪魔します!」


律「お邪魔...します」


?「あら、玲空くんに律佳くんよね!?
まぁこんなに大きくなったのねぇー!」


徠「桜舞、紹介するよ。俺の母さん」



徠が隣にいる長い黒髪を肩で束ねている女性の方を
見ながら俺にそう言った。


俺は目を逸らしながら頷く。


失礼だとは分かっているけど...。


母親...は誰よりも嫌いだ。


ていうか、旅行なんじゃなかったのかよ。



皆星夕美(ミナホシユミ)「こんにちは。あなたが新しい徠の
お友達よね?徠がいつもお世話になっているわ」



丁寧に挨拶されても、困る...。


俺は目を逸らしたまま、少しだけ会釈した。


徠の母親は戸惑ったような様子だったけど、
俺は何も言わずに黙っていた。


ごめん、徠。



律「桜舞は人見知りなんです」


玲「そうそう!」