...やべ。


俺は今、お土産家の中にいる。


もちろん、桜舞や玲空たちと一緒に。


でもそれぞれのお土産を選んでいるから、
一緒になって行動はしていない。


ただ、俺が今困ってるのは...。



桜舞「桜人?何してんの」


桜人「桜舞」



ぼうっと突っ立っていた俺に桜舞が
キョトンとした顔でそう話しかけてきた。


普段は男っぽい顔つきのくせに、
こういう顔は女っぽくて、なんか意外。


なんて何呑気に考えてんの、俺。



桜舞「お土産、選ばなくていいのか?」


桜人「それはお前も一緒だろ」


桜舞「...何買ったらいいのか、正直わかんないから」


桜人「だよな」



お互い揃って頷く。


なんだか面白くて今度は顔を見合わせて笑った。



桜人「桜舞は誰に買うんだ?」


桜舞「兄貴...かな」


桜人「へー、桜舞、兄貴いるんだ」


桜舞「...まぁな」



一瞬だけ桜舞の顔が暗く見えた気がしたけど。



桜舞「桜人は?」


桜人「...妹」


桜舞「え、桜人、妹いんの?」



桜舞がさぞ珍しそうな顔つきで俺を見る。


俺はちょっとムッとしながら、頷く。



桜人「あぁ」


桜舞「じゃあ桜人は兄貴なんだ」


桜人「悪ぃかよ」


桜舞「違うよ、ちょっと意外って思っただけ」



そう言いながら桜舞はクスッと笑う。



桜人「妹だと、何買えばいいのかよくわかんねぇ...」


桜舞「俺だって...」


桜人「兄貴なんだし、実用的なものがいいんじゃねぇ?」


桜舞「え、そーなの?」