あはは、と皆で笑い合っている時、
不意に桜舞が箸を止めたのに気が付いた。



玲「桜舞?どうかしたの?」


桜舞「え、あ、いや...」



慌てて取り繕うとする桜舞に何かあるんだろうと察した
俺はじぃっと桜舞を見つめた。


桜舞はしばらく俺の視線を黙って受けていたけど、
やがて諦めたのか渋々口を開いた。



桜舞「こ、これ...」


玲「え?」


桜人「ここの名物らしい、あんこ餅だろ?」


李・照「あ」


律「どーしたの?」


徠「この餅うめぇよ?」


玲「もしかして、桜舞...餅が嫌い?」


桜舞「...ん」



桜舞は少し恥ずかしそうにうつむきながら頷いた。


その顔は真っ赤で、俺は可愛いと思った。


なんていうか、桜舞は格好からもそうだけど、
男の子っぽくて、全然女の子ようには見えなかった。


けど、時々こんな風に見える桜舞はやっぱり女の子で
俺はその度に可愛いって思うんだ。


本人に言ったら、ものすごい剣幕で怒られるけど。


にしても、桜舞に嫌いなものがあるなんて...。



徠「意外だな。嫌いな食べ物あったんだな」


桜舞「な、なんだよ。誰にだってあるだろ...!」


桜人「けど、餅が食えねぇってかなりキツそうだよな」


李「あんまり聞かないしね」


律「うん」


玲「大変だね、桜舞!じゃあ、俺にちょうだい!」


桜舞「...は?」


玲「残すのはもったいないし、俺が食べるよ!」


桜舞「いや、それは悪い」


照「でも、このまま残す訳にもいかないよねー。
食べてもらえば?」


桜舞「照...!」


玲「俺は気にしないし!」